製薬用水における精製水とは何か基準と品質管理を解説
精製水とは製薬用水の基準と品質を保つ管理方法
医薬品製造の現場で、「製薬用水の管理方法がよくわからない」「精製水と注射用水の違いを説明できない」と感じたことはありませんか。製薬用水には日本薬局方による厳格な品質基準があり、製造工程の各段階で細かな管理が必要です。しかし実際には、水の種類や基準値、日々の管理方法について十分に理解できていない担当者も少なくありません。
製薬用水とはどのような水なのか、精製水と注射用水の違いは何か、導電率やTOCといった指標はどのように活用すべきなのでしょう。製造および品質管理担当者が押さえておくべき製薬用水の基礎知識から品質管理の実務まで、解説していきます。
製薬用水における精製水の定義と基本的な役割
医薬品の製造過程で利用する水全体を製薬用水といいます。その中で精製水は最も基本となる水です。日本薬局方では精製水について、「イオン交換、蒸留、逆浸透または限外ろ過などを単独あるいは組み合わせたシステムにより、常水より製したもの」と記載しています。常水は水道法の基準に適合する水道水や、消毒処理を施した井戸水を意味し、これらから不純成分を除去する工程を経て精製水が作られます。製造方法によって水質特性が異なるため、用途に応じた製法の選択が求められます。
精製水の主な用途
製造工程では精製水がさまざまな目的で活躍します。原料物質を溶解させる液体として、粒子形成時に加える水分として、さらには製造機器や保管容器を清める洗浄液としての役割があります。どの使用方法でも、残存する不純成分が最終製品の価値を損ねる可能性があるため、極めて高い純度が必要です。
製薬用水の分類と精製水の位置づけ
日本薬局方では製薬用水を4つに分けています。純度レベルの低い順に常水、精製水、滅菌精製水、注射用水です。精製水は常水に混在するイオンや有機成分を除いた水です。滅菌精製水は精製水へ滅菌処理を施したもので、無菌状態が絶対条件となる医薬品調製や医療機器洗浄で用いられます。注射用水は全カテゴリー中で最高純度を持ち、発熱性物質試験への合格が義務で、注射製剤製造に使える唯一の水です。
品質を保証する指標
精製水の品質は導電率と全有機体炭素(TOC)という2項目で管理します。導電率測定により水中の無機塩濃度が、TOC測定により有機不純物濃度がそれぞれわかります。日本薬局方では精製水と注射用水のTOC規格限度値を0.50mg/L以下と規定しています。
製薬用水は製造直後から品質低下が始まりやすい特徴を持ちます。不純物除去後の精製水は微生物繁殖に好適な環境となるため、製造後の速やかな使用、または微生物抑制機能を持つシステムでの保存が必要です。
製薬用水の種類と日本薬局方が定める品質基準
医薬品製造に使われる水は、利用目的や要求される品質段階に応じた明確な分類体系が存在します。日本薬局方では4つの区分を設け、各区分に対応する品質条件を詳細に定めています。
製薬用水の4つの分類
製薬用水は純度段階の低い順から常水、精製水、滅菌精製水、注射用水の順に4区分されます。
常水
水道法規定の水質条件に適合する水道水、あるいは消毒処理を経た井戸水を指します。
精製水
常水からイオンや生菌を除いたもので、器具洗浄、生薬抽出、分析作業など多目的に使われます。
滅菌精製水
精製水へ滅菌処理を加えたもので、無菌性が絶対条件となる医薬品調製や医療機器洗浄に使います。
注射用水
純度・品質ともに最高レベルで、発熱性物質試験合格が必須であり、注射製剤製造にのみ使用可能です。
バルク水と容器入り水の区別
製薬用水には製造形態に基づく分類もあります。製造設備で作られ貯蔵状態にあるものを「バルク水」と呼び、製造ラインへ供給されます。容器詰め状態の製品は「容器入り」と呼ばれます。日本薬局方では第十六改正からバルク水と容器入り水の規格を分けて、それぞれ独立した基準として扱っています。
品質基準の指標となる項目
製薬用水の品質判定には、導電率と全有機体炭素(TOC)が指標として使われます。導電率測定で無機塩総量が、TOC測定で有機不純物総量が把握できます。精製水・注射用水ともにTOC規格限度値は0.50mg/L以下です。
注射用水にはさらに厳格な条件があります。発熱性物質試験法合格が必須で、エンドトキシン規格値は0.25EU/mL未満です。この試験合格により、人体投与可能な安全レベルが証明されます。
製薬用水は製造後の微生物増殖リスクが高いため、生菌数基準も設定されており、定期測定による品質維持確認が義務化されています。
製薬用水における品質管理が重要とされる理由
医薬品製造現場において、水の品質管理は極めて重大な責任を伴います。水は原料溶解、造粒時添加、製造装置洗浄など多様な場面で使用され、注射剤では内容の大半を占めます。水の品質不良は、水自体や残留成分の人体侵入リスクを生じさせます。特に注射剤は体内へ直接投与されるため、わずかな不純物でも健康被害につながる可能性があり、より厳格な管理が求められています。
製薬用水の最大の弱点は、製造完了時点から品質劣化が始まることです。不純物除去後の水は微生物繁殖に適した状態となり、劣化進行が早まります。水の滞留箇所は微生物増殖の温床となるため、継続的な循環設計が必須です。タンクの上部や配管の接続部など、水が停滞しやすい部位には特別な注意を払い、常に水を流動させる工夫が必要となります。
理化学的モニタリングの実施
製薬用水システムの品質管理では、導電率と全有機体炭素(TOC)を測定指標とします。導電率で無機塩総量、TOCで有機物総量を評価します。
各製造施設では、規格限度値とは別に警報基準値・対処基準値を設定し、継続的な測定体制を構築することが推奨されています。精製水および注射用水のTOC規格限度値は0.50mg/L以下ですが、推奨される対処基準値は300ppb以下(インライン)、400ppb以下(オフライン)とされています。
微生物学的管理の徹底
生菌数モニタリング
微生物汚染の無い状態を確認し、製造工程と製品品質を守ることが目標です。システムの適切設計と定期消毒により、微生物汚染を最小化する必要があります。
エンドトキシンモニタリング
注射用水ではエンドトキシン測定が必須です。エンドトキシンはグラム陰性桿菌細胞壁の耐熱性リポ多糖です。水や製品のエンドトキシン汚染が無いことの確認が求められます。
製薬用水の品質を継続的に保つには、適切なバリデーションによる検証と、日常的な水質管理による保証継続が不可欠です。
製薬用水の品質確保には専門的な分析が必要
製薬用水の中でも精製水は医薬品製造の土台です。日本薬局方では常水と精製水、滅菌精製水、注射用水という4区分を設定し、それぞれに導電率・TOC・エンドトキシンなどの厳格な品質条件を定めています。製薬用水は製造後の微生物繁殖と劣化が起きやすいため、理化学的測定と微生物学的管理を組み合わせた継続的な品質管理が欠かせません。
クリタ分析センター株式会社は製薬用水分析で豊富な経験を持つ分析専門企業です。日本薬局方(JP)・USP・EPに対応する製薬用水分析を厚木事業所と滋賀事業所で実施し、製薬企業100社超の監査実績に基づくGMP対応が可能です。常水から精製水、注射用水まで、用途別の適切な分析と品質評価を支援します。製薬用水の品質管理についてお困りの際は、専門知識と確かな技術を持つクリタ分析センター株式会社へご相談ください。
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