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安定性試験の光安定性評価が品質保証と安全性に果たす役割

安定性試験における光安定性の評価方法と品質を守る対策

医薬品開発や工場でのPQ・PV対応において、製品の品質を長期にわたって安定して維持できるかどうかは、承認申請およびGMP対応の成否を左右する重要なポイントです。中でも光による影響(光劣化)は見落とされやすく、有効成分の分解や不純物の増加などを引き起こし、有効期間設定や保管条件の妥当性に直結します。

一方で、「どの条件で光安定性試験を実施すべきか」「申請用データとして成立する試験になっているのか」「PQ・PV用のロットでどこまで確認すればよいのか」といった点で、判断に迷っている開発部門・品質管理部門の担当者は少なくありません。

光安定性試験は、ICH Q1Bガイドラインに基づいて実施される、医薬品の承認申請(CTD)やGMP対応に不可欠な安定性試験です。適切な試験条件で光安定性を評価することで、光による品質変化の有無や影響程度を科学的に把握でき、包装仕様の選定、遮光の要否、表示保管条件の根拠づけが可能となります。

申請用試験としてはもちろん、工場でのPQ・PV時のロット安定性確認や、商用製造移行前の品質リスク評価においても、光安定性試験は重要な役割を果たします。

ここでは、医薬品の申請用安定性試験やPQ・PV対応を担当する開発部門・品質管理部門向けに、光安定性試験の基本的な考え方から、ICHガイドラインに基づく試験の位置づけ、実務で押さえるべきポイントまでをわかりやすく解説します。

「光安定性試験をどこに外注すべきか」「自社試験で対応可能か判断したい」といった検討段階の方にも、判断材料としてご活用いただける内容です。

光による医薬品の品質変化が起きる理由とそのメカニズム

光による医薬品の品質変化が起きる理由とそのメカニズム

医薬品は紫外線や可視光といった光曝露を受けることで、有効成分の分解や変質が進行し、含量低下、不純物増加、外観変化などの品質劣化を引き起こす可能性があります。

これは、光のエネルギーが化学反応を誘発するためであり、医薬品開発や承認申請、工場でのPQ・PV対応において無視できない品質リスクです。

こうした光劣化リスクを科学的に評価する試験が光安定性試験(ICH Q1B)です。

光安定性試験は、承認申請資料(CTD)やGMP文書に必要な安定性データを取得する目的で実施され、適切な保管条件や包装形態を決定するための根拠データとして欠かせません。

医薬品の有効成分には、紫外線や可視光線のエネルギーを吸収しやすい芳香環構造や共役系を有するものが多く存在します。

光エネルギーを吸収した分子は励起状態へ移行し、そこから酸化反応、加水分解、分解反応などの光化学反応が進行します。

その結果、有効成分の力価が低下するだけでなく、予期しない分解生成物(不純物)が生じる場合もあり、品質・安全性の両面で問題となります。

光による品質変化が及ぼす具体的な影響(申請・GMP対応で重要)

光による品質変化は、医薬品の有効性・安全性・外観品質すべてに影響を及ぼします。

  • 有効成分含量が規格値を下回り、治療効果を保証できなくなる
  • 分解生成物の増加により、不純物規格や安全性評価の追加が必要となる
  • 変色、沈殿、臭気などの外観変化により、患者の服薬アドヒアランスが低下する
  • 包装仕様の不備が顕在化し、上市後の品質トラブルにつながる

光安定性試験では、品質変化がどの程度の光量で発生するのかを定量的に評価します。

通常の保管・流通環境よりも厳しい光曝露条件で試験を行うため、市場投入前に光に対する安定性を十分に確認することが可能です。

包装設計と保管条件の決定に直結する試験データ

光安定性試験で得られた結果は、以下の実務判断に直接反映されます。

  • 遮光性の高い容器やアルミシート包装の採用判断
  • PTP、ボトル、バリア材など包装材料選定の根拠
  • 添付文書や外装への「直射日光を避けて保存」などの表示設定
  • 流通時(GDP)における光管理条件の裏付け
  • 開発段階での剤形設計、配合設計のリスク評価

製品開発の初期段階から光による品質変化リスクを正確に把握しておくことは、

承認申請の円滑化、PQ・PVの確実な実施、上市後の品質トラブル防止に直結します。

光安定性試験は、医薬品の品質保証体制を支える重要な安定性評価試験です。

ICHガイドラインQ1Bに準拠した光安定性試験の具体的な手順

ICHガイドラインQ1Bに準拠した光安定性試験の具体的な手順

光安定性試験は、ICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドラインQ1Bに基づいて実施される、医薬品承認申請に必須の安定性試験です。

ICH Q1Bは、日本・米国・欧州(3極)で調和された国際ガイドラインであり、新有効成分含有医薬品の承認申請(CTD)において、光による品質変化を評価するための標準的な試験方法を示しています。

光安定性試験をガイドラインどおり適切に実施することで、光による有効成分の分解、不純物生成、外観変化の有無を科学的に評価でき、その結果をもとに包装形態(遮光性)、保管条件表示、流通管理条件(GDP)を合理的に決定できます。

不十分な試験設計やデータ不足は、PMDA審査時の照会事項や追加試験リスクにつながるため、申請用試験として極めて重要な位置づけとなります。

苛酷試験としての位置づけと試験対象(原薬・製剤)

光安定性試験は、苛酷試験の一環として位置づけられ、原薬(API)および製剤の両方を対象に実施されます。

通常は、1ロット以上の代表ロット(基準ロット)を用いて試験を行いますが、開発段階や製品特性、申請戦略に応じて複数回の検証を行うケースもあります。

製剤の試験では、実際に申請予定の容器施栓系で包装した状態で試験を実施することが原則です。

必要に応じて、二次包装(箱、アルミ袋)や容器ラベルを含めた状態で光曝露を行い、実際の流通・保管条件を反映した評価を行います。

光源の選択とICH Q1Bに基づく照射条件

ICHガイドラインQ1Bでは、光安定性試験に使用する光源として、以下の2つの選択肢が示されています。

1つ目は、ISO10977に準拠したD65またはID65光源を使用する方法です。

2つ目は、白色蛍光灯と近紫外蛍光灯を組み合わせて使用する方法です。

照射条件については、以下の最低照射量が規定されています。

  • 可視光線:総照度120万lux・時以上
  • 近紫外光:総近紫外放射エネルギー200W・時/平方メートル以上

これらの条件を満たすことで、光劣化リスクを十分に評価できる苛酷条件として、承認申請に耐えうる光安定性データを取得できます。

試験サンプルの準備と評価項目(申請・GMP対応)

光安定性試験に使用するサンプルは、実生産を想定したパイロットプラントスケール以上で製造されたものを用いることが求められます。

  • 原薬:申請予定の容器施栓系と同一、またはそれに準ずる容器
  • 製剤:申請容器で包装した実製品形態

主な評価項目には、以下が含まれます。

  • 有効成分含量測定
  • 分解生成物(関連物質)の同定および定量
  • 外観変化(変色、濁り、沈殿、臭気など)

これらの試験結果は、CTD品質パート、GMP文書、PQ・PV評価資料に直接使用される重要なデータとなります。

対照サンプルとの比較による光影響の切り分け

光安定性試験では、光を遮断した対照サンプルを必ず同時に準備し、光曝露サンプルとの比較評価を行います。

この比較により、観察された品質変化が

  • 光による影響なのか
  • 温度、湿度、時間経過など他要因によるものなのか

を明確に切り分けることができます。

試験結果は、

  • 遮光容器の必要性判断
  • 「直射日光を避けて保存」などの表示設定
  • 流通・保管条件の根拠データ

として活用され、承認申請および上市後の品質保証において非常に重要な意味を持ちます。

光分解から製品品質を守るための包装設計と保管対策

光安定性試験の結果は、医薬品の品質を長期にわたって維持するための重要な判断材料となります。光安定性試験により得られたデータは、光劣化による有効成分の分解、不純物生成、外観変化を科学的に評価し、包装設計、容器施栓系の選択、保管条件、品質保証体制を適切に決定するための根拠となります。医薬品は製造から流通、保管、患者の使用環境に至るまで常に光曝露のリスクに晒されるため、申請用安定性試験としてICH Q1Bに準拠した評価が必須です。

光に対して感受性を示す成分が確認された場合、最も有効な対策は遮光性の高い包装材料の選択です。褐色ガラス瓶、アルミブリスター、アルミ袋、遮光フィルムを使用したPTP包装などは、紫外線および可視光線を効果的に遮断し、GMP管理下の製造から流通工程、患者の保管環境まで製品品質の維持に寄与します。これらの遮光包装は、医薬品安定性試験の結果をもとに科学的に選定されます。

容器施栓系の選択と二次包装の役割

光安定性試験では、一次包装だけでなく二次包装を含めた全体の遮光性能を評価することが求められます。透明容器を採用する場合でも、二次包装に遮光性の高い外箱を使用することで、光による有効成分の分解や関連物質の生成を効果的に抑制できます。ICH Q1Bに基づき、実際に市場で使用される包装形態(容器施栓系)で光安定性試験を実施することで、包装設計の妥当性を事前に確認でき、CTDにもそのまま転記可能な品質データとして活用できます。

保管条件の設定と表示

光による影響が認められた場合、光安定性試験の結果に基づいて、添付文書やラベルに「直射日光を避けて保存」といった注意表示が設定されます。この表示は、医療機関、薬局、物流倉庫、患者の自宅での適切な保管を促し、PQ・PVやGDP管理にも直結します。製造現場や倉庫では、遮光保管庫の使用や日光を避けた保管エリアの設定など、GMPに基づく管理が求められます。

分解経路の解明と製剤設計への応用

光安定性試験では、光曝露によって生成される分解生成物(関連物質)の同定が重要です。得られた情報は、光劣化のメカニズムを理解するだけでなく、製剤設計そのものの改善(光安定化処方)にも利用できます。代表的なアプローチには以下があります。

  • 光安定化剤の添加
  • コーティングによる光遮断層の形成
  • 原薬の光分解経路に基づく処方最適化
  • 包装材との相互作用を考慮した設計検討

これらの対策により、光に対する脆弱性を改善し、医薬品の長期安定性と品質保証(GMP・CTD対応)に大きく貢献します。

光安定性試験で医薬品の品質を確実に守る取り組み

医薬品は光によって有効成分が分解したり、予期しない化学変化が生じたりする可能性があります。そのため、光安定性試験を適切に実施し、光による品質変化を事前に評価することが品質保証において欠かせません。ICHガイドラインQ1Bに準拠した試験を通じて、分解経路の解明や適切な包装形態の選定、保管条件の設定を科学的根拠に基づいて行えます。

クリタ分析センター株式会社は、GMP対応の医薬品受託試験において100社を超える製薬会社の実績を持ち、厚木事業所と滋賀事業所を中心に安定性試験を実施しています。日本薬局方やUSP、EPといった各国の薬局方に対応した製薬用水分析の経験と、ISO/IEC17025認定を取得した高精度な分析技術を活かし、信頼性の高い試験データを提供しています。光安定性試験をはじめとする安定性試験でお困りの際は、ご相談ください。

安定性試験の光安定性評価に関するご相談はクリタ分析センター株式会社

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