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作業環境測定で押さえる有機溶剤の基礎知識

有機溶剤作業環境測定の方法と管理濃度から測定頻度まで

製造業の現場では、有機溶剤を使用する作業環境において、労働者の健康を守るための作業環境測定が法的に義務付けられています。しかし、実際の測定方法や評価基準、実施頻度について正確に理解している担当者は意外に少ないという現状があります。

適切な測定手順を踏まずに実施した場合、法令違反のリスクがあるだけでなく、労働者の健康被害を見過ごしてしまう可能性もあります。また、管理濃度の正しい理解なしには、測定結果を適切に評価することもできません。

安全衛生管理の責任者として、有機溶剤の作業環境測定に関する基礎知識から実践的な運用方法まで体系的に把握しておくことが必要です。測定方法の選択から結果の評価、そして効率的な管理体制の構築まで、現場で直面する課題を解決するための具体的な知識をお伝えします。

有機溶剤作業環境測定の実施方法と測定手順

有機溶剤作業環境測定の実施方法と測定手順

有機溶剤を使用する作業場における作業環境測定は、労働安全衛生法に基づいて義務付けられた管理業務です。測定は「A測定」と「B測定」の2つの手法を組み合わせて実施し、作業環境の安全性を総合的に評価します。

測定の実施にあたっては、まず予備調査を行い、作業場の状況や有機溶剤の使用実態を把握します。その後、適切なデザイン設計に基づいてサンプリング地点を決定し、実際の試料採取を行います。採取した試料は専門機関で分析され、得られたデータを解析して作業環境の評価を行います。

A測定による平均的濃度の把握

A測定は、作業場全体における有機溶剤濃度の平均的な状態と空間的な分布を把握するための測定です。測定点は無作為に選定する必要があり、一般的には6m以下の等間隔で設定します。床面から50cm以上150cm以下の高さで測定を行い、作業場の空間的な濃度分布を評価します。測定は作業が行われている時間帯に実施し、通常の作業状況下での濃度レベルを把握します。

また、環境空気の時間的変動を加味した測定結果を得るために、最初の測定点のサンプリング開始から最後の測定点のサンプリング終了までの時間が1時間以上となるようにします。

B測定による高濃度箇所の特定

B測定は、A測定を補完する目的で実施され、有機溶剤の発散源に近い場所や労働者の曝露濃度が最も高くなると予想される地点で行います。発散源での作業が行われる時間帯に、その作業位置において10分間の測定を実施します。この測定により、作業場内で最も濃度が高くなる可能性がある箇所を特定し、適切な管理対策の必要性を判断します。

個人サンプリング法の適用

近年導入された個人サンプリング法では、従来の定点測定に代わり、労働者の身体に試料採取装置を装着して測定を行います。C測定(A測定相当)では労働者の全作業時間を通してサンプリングし、D測定(B測定相当)では高濃度曝露が想定される作業時に15分間のサンプリングを実施します。この手法により、労働者の実際の曝露状況をより正確に把握できます。

測定結果は作業環境評価基準に基づいて第1から第3管理区分に分類され、必要に応じて改善措置を講じる必要があります。

有機溶剤作業環境測定における管理濃度と評価基準

有機溶剤作業環境測定における管理濃度と評価基準

作業環境測定における有機溶剤の管理は、法令で定められた管理濃度を基準として行われます。管理濃度とは、作業環境の良否を判断するための指標であり、作業環境測定基準に従って実施した測定結果から管理区分を決定する際に使用されます。この管理濃度は、曝露限界や各国の規制基準の動向を踏まえ、作業環境管理技術の実用可能性を考慮して行政的な見地から設定されています。

許容濃度は個々の労働者の健康保護を目的とした曝露限界値ですが、管理濃度は作業環境の管理区分決定のための行政的指標であり、測定値を統計的に処理したものと対比して使用します。両者は目的と適用方法が異なる重要な概念です。

主要有機溶剤の管理濃度基準

代表的な有機溶剤の管理濃度について説明します。これらの数値は、作業環境評価の判断基準となります。

  • トルエン:20ppm
  • キシレン:50ppm
  • アセトン:500ppm
  • メタノール:200ppm
  • メチルエチルケトン:200ppm

特別有機溶剤については、発がん性のリスクを考慮してより厳格な管理が求められます。以下のような低い数値が設定されています。

  • エチルベンゼン:20ppm
  • クロロホルム:3ppm
  • ジクロロメタン:50ppm
  • テトラクロロエチレン:25ppm

管理区分による作業環境の評価

測定結果は第1から第3管理区分に分類されます。第1管理区分は適切な管理状態、第2管理区分は改善余地あり、第3管理区分は直ちに改善が必要な状態を示します。第3管理区分では局所排気設備の設置や作業方法の見直しなど、具体的な対策を講じる必要があります。

混合有機溶剤の評価方法

有機溶剤を2種類以上含有する混合物を使用する作業場では、各有機溶剤の測定濃度をそれぞれの管理濃度で除した値の合計が1を超えないことが求められます。この計算式により、複数の有機溶剤による複合的な影響を適切に評価し、労働者の健康保護を図ります。

有機溶剤作業環境測定の実施頻度と法的要件

有機溶剤を取り扱う作業場では、労働安全衛生法および有機溶剤中毒予防規則により、6か月以内ごとに1回の作業環境測定が義務付けられています。この測定頻度は法定要件であり、遵守しない場合は法的な処罰の対象となる可能性があります。

測定の実施は、作業環境測定士の資格を持つ者または作業環境測定機関に委託して行う必要があります。測定結果および評価の記録は3年間保存することが義務付けられており、労働基準監督署の立入検査時には提示できる状態で管理しておく必要があります。発がんのリスクのある物質等は特定化学物質障害予防規則(特化則)において測定記録を30年間保存することが義務付けられています。

測定頻度の基本原則

法定測定頻度は「6か月以内ごとに1回」と定められていますが、これは最低限の要件です。作業環境の状況や使用する有機溶剤の種類、作業内容の変更などに応じて、より頻繁な測定を実施することが推奨されます。とくに新しい有機溶剤の導入や作業工程の変更、換気設備の改修を行った場合には、変更後速やかに測定を実施し、作業環境への影響を確認することが必要です。

測定頻度に影響する要因

作業内容による頻度調整

塗装作業や印刷作業など、有機溶剤の発散源が移動する作業や、密閉された空間での作業を行う場合には、通常よりも頻繁な測定が必要になることがあります。季節による換気状況の変化や、作業量の変動が大きい場合にも、追加的な測定を検討する必要があります。

管理区分による対応

第3管理区分に該当した場合には、改善措置を講じた後に速やかに再測定を実施し、改善効果を確認する必要があります。第2管理区分でも、継続的な監視のために測定頻度を増やすことが効果的です。

適用除外認定と測定免除

有機溶剤の使用量が少量で、作業環境中の濃度が許容濃度を超えない場合には、所轄労働基準監督署長の適用除外認定により、作業環境測定の実施義務を免除される場合があります。ただし、認定には詳細な使用実態の報告と審査が必要であり、認定後も定期的な報告義務が課せられます。

測定の計画的な実施により、労働者の健康保護と法令遵守を行えます。

クリタ分析センター株式会社で安心の作業環境測定

有機溶剤の作業環境測定は、労働者の健康保護と法令遵守のために欠かせない業務です。適切な測定方法の選択、管理濃度に基づく評価、そして法定頻度での定期実施により、安全な作業環境を維持できます。A測定とB測定を組み合わせた従来の手法に加え、個人サンプリング法の導入により、より正確な曝露状況の把握が実現されています。

クリタ分析センター株式会社は作業環境測定士による専門的な測定から結果の評価まで一貫したサポートを提供し、お客様の法令遵守と労働安全衛生の向上に貢献しています。安全で健康的な職場環境の実現に向けて、信頼できるパートナーとして全力でサポートいたします。

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