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カーボンニュートラル実現のための土壌バイオ炭活用事例

土壌施用バイオ炭によるカーボンニュートラル達成の実践ガイド

農業分野でのカーボンニュートラル実現に向けて、バイオ炭を活用した土壌施策が注目を集めています。従来の農業廃棄物を炭化して農地に施用することで、土壌改良と同時に大気中の二酸化炭素を長期間にわたって土壌に固定できます。この手法は、環境負荷削減と収益性向上を両立させる革新的なアプローチとして期待されています。

しかし、実際の導入にあたっては炭素貯留効果の定量評価、法規制への適合、適切な施用量の算定が必要です。全国各地で実証が進む事例からは、J-クレジット制度を活用した収益化モデルや地域資源循環型の製造システムなど、具体的な成功パターンも見えてきました。バイオ炭導入による土壌のカーボンニュートラル実現に向けた評価手法から実践的な導入戦略まで、技術責任者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

土壌分析によるバイオ炭の炭素貯留効果と環境負荷削減の定量評価

土壌分析によるバイオ炭の炭素貯留効果と環境負荷削減の定量評価

バイオ炭を農地に施用することで得られる炭素貯留効果は、科学的な評価手法により定量的に測定できます。2019年のIPCC改良ガイドラインでは、バイオ炭による土壌炭素貯留量の算定方法が明確に定められています。投入バイオ炭の重量、有機炭素含有率、100年後の炭素残存率を用いた計算式が確立されています。

具体的には、炭素貯留量(トンCO2)=投入バイオ炭の重量(トン、乾重)×有機炭素含有率×100年後の炭素残存率×44/12という式で算出されます。農研機構などの研究機関では、工業分析方法の分析値を活用し、炭化温度および土壌炭素貯留量を簡便かつ正確に計算する手法を開発しています。原料の種類に関係なく炭素貯留量を評価することが可能です。

原料別の炭素含有率と残存率の特性

バイオ炭の種類によって炭素含有率と100年後の炭素残存率は大きく異なります。炭素含有率は原材料や炭化方法により7%から79%の範囲で変動し、100年後の炭素残存率は63%から82%と推定されています。木材由来のバイオ炭は比較的高い炭素含有率と残存率を示す一方、草本由来やもみ殻由来のバイオ炭は相対的に低い数値となる傾向があります。

土壌物性改善効果の評価指標

バイオ炭は炭素貯留だけでなく、土壌の物理的化学的性質改善にも効果があります。原料と生成温度の組み合わせにより、保水性改良、保肥性改良、土壌酸性改良の各効果が異なります。またリン供給効果も変化します。木質チップの低温炭化では保水性と保肥性の改良が期待でき、竹の高温炭化では保水性と土壌酸性改良効果が高くなります。鶏ふん由来のバイオ炭は温度に関係なく土壌酸性改良とリン供給に優れた効果を示します。

これらの科学的評価データは、農地の土壌改良計画策定や長期的な営農戦略立案において、定量的な判断材料として活用できます。

業界動向から学ぶカーボンニュートラル実現の土壌施策

業界動向から学ぶカーボンニュートラル実現の土壌施策

全国各地でバイオ炭を活用したカーボンニュートラル実現に向けた土壌施策の実証が進んでおり、業界全体で取り組み事例が蓄積されています。これらの実証プロジェクトでは、地域の未利用バイオマスを活用したバイオ炭製造から農地施用、効果測定まで一貫した体系が構築されており、各段階において土壌分析による科学的評価が不可欠な役割を果たしています。

業界動向として、長野県では地域の農業残渣からバイオ炭を製造する取り組みが注目されています。農地に貯炭を行う「地廃地活」と、該当農地の農産物を地域で消費する「地産地消」を組み合わせた持続可能な循環型農業が実践されています。

J-クレジット制度を活用した収益化の動向

国内初のバイオ炭農地施用によるJ-クレジット認証では、全国18道府県の取り組みがとりまとめられ、第1回プログラム申請で247トンCO2のクレジット認証を受けています。農業団体や農業者がプロジェクト実施者となり、専門機関がプロジェクト管理者として全体をコーディネートする三者連携モデルが確立されています。

J-クレジット制度とは、温室効果ガスの排出削減や吸収量をクレジットとして認証し、取引を行える制度です。バイオ炭による炭素貯留効果を定量化し、クレジット化することで経済的インセンティブを創出できます。

地域資源循環型の製造施用体系の動向

もみ殻を活用した高効率製造システム

JAのカントリーエレベーターにおいて、大量発生するもみ殻を原料とした高効率バイオ炭製造装置の実証が進められています。24時間稼働で1時間当たり100kgのもみ殻から30kgのバイオ炭を製造し、従来比120%の歩留まり向上により、製造コストを1トン当たり5万円から3万円への削減を目標としています。

果樹剪定枝の資源化動向

山梨県では果樹の剪定枝から製造したバイオ炭を農地土壌に施用することで、土壌炭素を貯留する4パーミルイニシアチブの取り組みが実践されています。炭化方法、炭素貯留量、土壌改良効果の試験研究から現地検証、環境配慮農産物のブランド化まで一貫した事業モデルが構築されています。

これらの業界動向では、バイオ炭施用による土壌改良効果の定量評価、炭素貯留量の科学的測定が課題となっており、こうした取り組みの成功には信頼性の高い土壌分析による現状把握と効果測定が不可欠です。

カーボンニュートラル実現に向けた効果的な土壌バイオ炭導入手法

バイオ炭の農地施用によるカーボンニュートラル実現には、科学的根拠に基づく計画的な導入プロセスが不可欠です。導入検討段階では、対象農地の土壌分析による現状把握、バイオ炭の種類選定、施用量の算定を行います。さらに効果測定計画の策定を体系的に行う必要があります。

農林水産省の指針によると、バイオ炭の施用量は土壌の種類とpH値により異なります。pH6.5以下の一般的な作物に対しては黒ぼく土で227トン/ha、未熟土で22.7トン/ha、その他の土壌で113トン/haが目安とされています。

原料調達と品質管理体制の確立

導入コスト削減と地域循環の観点から、さきほど紹介した事例のような地域未利用バイオマスの活用が推奨されます。品質管理では、肥料法の規定に基づく適切な手続きが求められ、くん炭肥料や動物の排せつ物に該当するものは都道府県への届出が必要です。

バイオ炭の品質条件として、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度で焼成されていることが必要です。原料は国内産の未利用間伐材など他に利用用途がないものを使用し、塗料や接着剤などが含まれていないことが求められます。

モニタリングと効果測定システム

長期的な効果測定には、上記で解説した評価手法を活用した土壌炭素量の定期測定、土壌物理性の評価、作物収量への影響調査が必要です。実証ほ場ごとに実証前後の分析を実施し、炭素貯留効果を定量的に把握します。営農上のメリットを数値化することで、投資対効果の評価が可能になります。

支援制度の効果的活用

導入成功の鍵は、専門機関による技術支援体制の活用と、国のさまざまな支援制度の効果的な組み合わせにあります。環境保全型農業直接支払交付金、産地生産基盤パワーアップ事業、みどりの食料システム戦略推進交付金などを活用することで、初期投資負担を軽減しながら持続可能な事業モデルの構築が実現できます。

土壌バイオ炭導入で実現するカーボンニュートラル社会への貢献

バイオ炭を活用した土壌改良は、カーボンニュートラル実現に向けた具体的かつ効果的な手法として注目を集めています。科学的な評価手法による効果の定量化、実証事例に基づく実践的なモデル、そして体系的な導入手法により、農業法人や環境コンサルティング企業にとって実践可能な選択肢となっています。

クリタ分析センター株式会社では、土壌汚染調査からSOFIX土壌診断まで幅広い土壌分析サービスを提供しており、バイオ炭導入における土壌の現状評価や効果測定をサポートしています。全国11拠点での迅速な対応体制と、高精度な分析技術により、信頼性の高いデータ提供が可能です。

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