お問い合わせ

冷却水の管理項目とその意味をまとめています。お役立てください。

環境分析環境水分析/土壌分析/etc

品質試験超純水分析/異物分析/etc

その他サービスその他サービス

分析の依頼・お問い合わせは

TEL 029-836-7013

FAX 029-836-7450

冷却水の分析項目についての説明

項目名 測定の目的など 影響
腐食 スケール
【pH】 pHにより、水中に存在する塩類の溶解度や材料にたいする浸食度が大きく変わるため、腐食やスケール発生の傾向を把握する上で基本的な水質因子です。pHの低い酸性の水は金属材料やコンクリートの腐食作用があり、pHの高いアルカリ性の水は塩類の溶解度が小さくなるため、スケール析出傾向があります。
【電気伝導率】 その水質の導電性を表し、水中に含まれる陽イオン、陰イオンの総量と関係があります。電気伝導率の高い水は電気抵抗が小さい為、腐食速度を大きくする傾向があります。わが国の河川の平均的なEC値は11mS/m、海水では約4500mS/mになります。
【塩化物イオン】 海に近い河川水や地下水、生活排水、産業排水などが流入する河川では多量の塩化物イオンが含まれることがあります。塩化物イオンは水に腐食性をもたらす重要な要因であると共に、水中での安定度が高いため、循環系の水質の濃縮倍数の管理にも使用されます。塩素イオンは汚染されていない河川、湖沼、地下水でも10~20mg/L程度含まれていますが、淡水域で 50~100mg/L以上の塩素イオンが検出された場合はなんらかの汚染があったと考えられます。  
【硫酸イオン】 硫酸イオンは水に腐食性をもたらす重要な要因で、特に開放系の冷却水においては自動車の排気ガスや工場の排気ガスなどから亜硫酸ガスを取り込み、硫酸イオンの濃度が高くなることがあります。生活排水、産業排水などが流入する河川では硫酸イオン濃度が高いこともあります。硫酸イオンを多量に(100mg/L程度以上)含む水は、鉄管などを腐食したり硬度が高くスケール障害につながることリスクがあり工業用水には適しません。  
【酸消費量(pH 4.8)】 その水質に含まれる炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などをpH4.8まで中和するための酸の量といい、その酸に相当する炭酸カルシウムに換算して表します。酸消費量(pH4.8)の高い水質は大きいとスケール析出傾向にあり、小さいと腐食傾向にあります。
【全硬度】 水中に存在するカルシウムイオンによる硬度とマグネシウムイオンによる硬度の和で、スケール発生の重要な要因となります。一般の冷却水では、スケールや腐食防止の点から全硬度50mg/L以下程度が望ましいとされています。
【カルシウム硬度】 水中に存在するカルシウムイオンの濃度を炭酸カルシウムに換算して表記します。その値が高いと炭酸カルシウム主体のスケールの要因となります。
【イオン状シリカ】  シリカの形態は複雑ですが、固形を除く水中に存在するシリカの量とイオン状シリカの量に大差がないことから、測定が簡単なイオン状シリカを用います。酸性下では固く除去しにくいスケールとなる可能性があり、pH7以上でも、マンガン、鉄、亜鉛、アルミニウムイオンが存在するとその量に応じてスケールが析出することがあります。
【鉄】 主に地質由来により水中に存在し、溶解性の鉄は酸化されやすく水酸化鉄、酸化鉄となります。冷却水系内に入った鉄は沈着し、汚れやスケールの原因となります。一方で、鋼材配管等の腐食によって冷却水系中の濃度が高くなることもあります。
【銅】 主に給水などの熱交換装置に使用されれる銅管、黄銅器具などからの溶出が多いです。銅は亜鉛めっき鋼管、鉄管、アルミ製品などの腐食促進の要因となります。
【硫化物イオン】 水中に存在する硫化物を指し、硫化物中の硫黄の量で表します。主に河川や湖沼の底質の嫌気性分解による由来や硫黄泉などにより混入します。硫化物はpHが下がると、硫化水素を発生させ、銅や鉄鋼など多くの金属材料を腐食させます。また系内で硫酸塩還元菌が繁殖し、水中の硫酸塩を還元させる硫化水素を発生させることもあります。  
【アンモニウムイオン】 主に窒素系有機化合物の分解から生じる。アンモニウムイオンは銅と反応して錯塩をつくり、銅の溶出が進み腐食をさせます。  
【残留塩素】 水道水など塩素処理を行った水に残留する有効塩素の量を表します。強い酸化力をもち塩化物イオンと化学的に大きく性質がことなります。
微量では影響が少ないものの、水温が上がると腐食傾向は強くなる傾向にあるため、温水系については特に残留塩素濃度の管理が重要となります。
 
【遊離炭酸】 水中に存在する二酸化炭素を表します。主に空気中の二酸化炭素の溶解や、様々な炭酸塩の分解により発生したものに由来し、地下水においては高圧下で二酸化炭素が溶解したため、多量に遊離炭酸が存在していることもあります。遊離炭酸は水中で水素イオンと炭酸水素イオンに乖離し、pHを低下させます。
遊離炭酸の濃度が高いと、鉄、銅、亜鉛などの金属の腐食や水槽のコンクリートを溶解させることがあります。
 
【安定度指数】 水の腐食性とスケール生成の傾向を表します。炭酸カルシウム飽和pHの2倍から通常のpHを引いて求めます。その値が6未満だとスケール傾向、7以上だと腐食傾向にあります。炭酸カルシウム飽和pHはカルシウムイオン濃度と酸消費量(pH4.8)から計算することができます。
【亜硝酸イオン】 鋼材に対する酸化皮膜型防食剤の成分であり、亜硝酸イオン濃度を測定することで鋼材表面への防食皮膜形成効果を確認します。一方で、亜硝酸態窒素は富栄養化の原因物質であるほか、ニトロソアミンと呼ぶこともあり健康に影響を与える成分でもあることから、亜硝酸を使用しない処理が開発・提案されています。  
【ナトリウム】 ナトリウムイオン(Na+)は淡水の主成分で一般の河川水中に1~10mg/l程度含まれています。地下水はナトリウム分が増加する傾向があります。    
【リン酸】 鋼材および銅材に対する沈殿皮膜型防食剤の成分であり、残留濃度を測定することで鋼材表面への防食皮膜形成効果を確認します。一方で、亜硝酸イオンと同様にリン酸も富栄養化の原因物質であるため、これを使用しない処理が開発・提案されています。
【マンガン】 自然水中のマンガンは鉄と共存し、その量は鉄のおよそ10分の1といわれています。配管内壁に付着したマンガンが流速の変化で剥離流出し、残留塩素によって水が黒く着色することから、色度上昇の原因になることがあります。
【全カチオン】 全カチオン量とは、陽イオンの量を総計したもの。全硬度と金属イオン濃度(鉄、銅、亜鉛、マンガン)、ナトリウム、カリウム、アンモニウムイオン濃度から計算されます。    
【全アニオン】 全アニオン量とは、陰イオンの量を総計したもの。酸消費量(pH4.8)、塩化物、硫酸、亜硝酸、硝酸、リン酸イオン濃度から計算されます。    
【溶解性蒸発残留物】 水を蒸発乾固したときに残る物質で、水中に存在するすべての物質のうち、粗大物(粒径 2mm以上)と溶存ガスおよび水より沸点の低い物質を除いた総量(浮遊物(SS)と溶解性物質(DM)の和)に相当します。蒸発残留物は純粋な水ほど小さく、夾雑物が多い程大きくなるもので、水の性状を表す上で最も基本的な項目の一つといえます。わが国の河川水の蒸発残留物は通常 200mg/L程度以下、地下水でも 500mg/L程度までといわれています。海水は約35000mg/Lです。  
【飽和指数】 スケールの生成しやすさを示す指標。
【マトソン比】 酸消費量(pH4.8)/硫酸イオン濃度の比で計算される、銅の腐食発生リスクに対する指標です。数値が大きい方が腐食発生しにくいと判定されます。  
【硫酸/塩化物イオン比】 ステンレスの腐食に関する指標。数値が低いと腐食しやすい傾向になります。  
【SO4+Cl/アニオン】 銅材に対する孔食発生リスクを評価する為に使用する値。  
【孔食指数】 銅材に対する孔食発生リスクを、SO4+Cl/アニオン、酸消費量(pH4.8)と塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度から計算により判断できる指数。  
【カチオン/アニオン】 全カチオン/全アニオンの値です。陽イオンと陰イオンの濃度バランスを確認する指標です。