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水生生物保全環境基準専門委員会(第4回)の結果について

水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準のうち、水生生物の保全に係る環境基準(水生生物保全環境基準)には亜鉛が、要監視項目にはクロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒドが定められています。

環境基準項目や要監視項目などは、新たな環境科学的知見等に基づいて必要な追加・見直し作業を継続して行なっていくべきとされていること、知見の集積が整いつつあることから、水生生物保全環境基準専門委員会で項目の追加等について審議されています。

水生生物保全環境基準専門委員会(第4回)が11月18日に開催され、「水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第1次報告)(案)」について審議されました。

 

【水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第1次報告)(案)の概要】

 

第1次報告はノニルフェノールについて検討された結果が掲載されています。

 

[ 目標値について ]

ノニルフェノールの各類型での水質目標値と導入の根拠データは以下の通りです。

 

水域

類型

水生生物の生息状況の適応性

目標値

目標値導入の概要

淡水域(河川・湖沼)

生物A

イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域

1μg/L以下

ニジマス(代表種、全長約5cm稚魚)の4日間半数致死濃度(LC50)95.1μg/Lに基づいて、推定係数「10」、および、他種の毒性値が得られていないことから比種「10」で除して水質目標値とした。

生物特A

生物Aの水域のうち、生物Aの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域

0.6μg/L以下

ニジマス(代表種、胚から稚魚期)の初期生活段階試験により得られた成長への影響を及ぼさない無影響濃度(NOEC)6μg/Lに基づいて、他種の毒性値が得られていないことから、種比「10」で除して水質目標値とした。

生物B

コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域

2μg/L以下

(「生物得B」の無影響導入値を「生物B」の水質目標値として採用。)

生物特B

生物A又は生物Bの水域のうち、生物Bの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域

2μg/L以下

メダカ(代表種、胚から稚魚期)の初期生活段階試験により得られた成長への影響を及ぼさない無影響濃度(NOEC)22μg/Lに基づいて、他種の慢性影響に対する毒性試験結果が得られていないことから、種比「10」で除して水質目標値とした。

海域

生物A

水生生物の生息する水域

1μg/L以下

マダイ(代表種、全長約2.5cm稚魚)の4日間半数致死濃度(LC50)118μg/Lに基づいて、推定係数「10」、および、他種の毒性値が得られていないことから比種「10」で除して水質目標値とした。

生物特A

生物Aの水域のうち、水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域

0.7μg/L以下

マダイ(代表種、全長約6.3cm仔魚)の2日間半数致死濃度(LC50)71μg/Lに基づいて、推定係数「10」、および、他種の毒性値が得られていないことから比種「10」で除して水質目標値とした。

 

[ 環境基準項目等の検討 ]

目標値と公共用水域における検出状況を比較すると、目標値を超過する地点があることから、公共用水域における濃度低下を図るために、環境基準項目として設定することになりそうです。

 

[ 測定方法について ]

ノニルフェノールの測定方法は、「固相抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法」になります。

 

パブリックコメントの実施後、専門委員会で報告を取りまとめ、関係省令の改正が実施される予定です。